“天城越え”の唄い出しからすぐのところに
「♪誰かに取られるくらいなら、あなたを殺していいですか・・・」
って歌詞があるでしょう?
この歌がヒットした当時、彼女はこの部分を“凄んで”唄っていたんですって。
そりゃそうよ、好きな相手を“殺す”んですものね。
その凄みがまたファンにはウケたわけよね。
今でも歌番組で彼女がこの歌を唄う時、他の歌手よりズームアップが多いのよ。
きっと、その凄みとか眼力をカメラマンも欲しがるのね?
でも、今はその部分を“ちょっと微笑んで”唄うようになったんですって。
狙ったわけじゃなく、自然にそうなったそうよ。
静かに微笑みながら「・・・殺していいですか?」
キャー!凄まれるより怖いわよねぇ~。
アタシはこのコメントを聞いて、歌手という人生を択び、ヒット曲に恵まれたとことも幸運だけれど、曲によって成長できた幸運を羨ましく思ったの。
勿論、眼には見えないご苦労が多々有ってのことでしょうけれどね。
そして、後日とある常連さんの言葉と彼女のそのコメントが重なったの。
アタシのお店にはご年配の女性も多く訪れます。
三人のお子さんを育て上げ、昨年ご主人を亡くし、今まさしく第二の人生・・・っていうか第二の青春(性シュンじゃないわよ)を謳歌してる、素敵なマダムがいらっしゃるんだけど、「三人のお子さんを立派にお育てになられて・・・。」
アタシがこんな話題をふった時、マダムは笑顔でこう答えたの。
「子供に育てられたのよ。子供達に親にしてもらったのよ・・・。」
アタシは返す言葉が見当らなかったわ。
様々なご苦労を乗り越えたからこそ自然に出るその言葉に「アタシってまだまだだなぁ。」って思ったの。
つづく