意外にアタシのゲイバーデビューは遅くてね。お店は大阪で、23歳だったわ。
大学時代は部活に追われてたから時間も無かったし、ゲイの素質に気付いてはいたものの、蕾は付けても開花はしていない状態だったの。
自分の“ゲイ性”としっかり向き合ったのは、社会人になってからなのよ。
お店がどこにあるか調べるために、まずゲイ雑誌を買ったの。
難波(なんば)の書店でね、わざわざカムフラージュの為に、表紙が女の裸の雑誌と一緒に買ったのよ。
今思うと笑っちゃうけれど、ほんと“うぶ”だったわ。
アダルトビデオが観たいだけなのに、普通の映画も借りたりするでしょう?それと同じ。
家に帰って早速ページをめくれば、男と男のくんずほぐれつのグラビアが!
思わず下半身がむずむず・・・ま、その後はご想像にお任せするとして。
目的のお店の紹介欄を探すと・・・ありゃま、沢山有ること!
当時、梅田より少し北側に住んでいたアタシは、やはり“キタ”のお店に行くことにしたの。
北区堂山町は西日本では一番のゲイタウン。
ゲイ雑誌のお店の紹介欄には、マスターの写真も掲載されてるし、料金は勿論、どんなお客が集まるのか、年齢層や体型に及んで詳しく書かれていたの。
「S」というお店に行くことに決めました。
ゲイ雑誌片手に、まるで観光客よ。
あまりに早く見つけちゃって却って戸惑いながらも、ここまで来たんだからと、震える手でドアを開けたわ。
「いらっしゃ~い。」・・・いや、何も聴こえてはいなかったと思うわ。
よく、TVドラマの極度に緊張したシーンで心臓の鼓動を効果音に使うでしょう?
あんな感じ。
さて、次回はアタシのそのゲイバーデビューのほろ苦い思い出を語るわね。